トゥーランドット臥龍居で行われた特別上海料理の会。魚米之郷と呼ばれる地の多彩な料理を堪能した
■前菜
一つ一つの頭菜に副菜をつけて。 塩味、甘味、酸味、苦味、 うま味を生かした五味の味わいを。
- 木耳咸蛋
木耳にアヒルの塩卵の裏漉しをからませた一品。 上海料理では海老や魚に塩卵を合わせることが多いが、今回はきくらげで。
- 芳香酔鶏
紹興酒、塩、胡椒の風味をつけて酔わせる鶏の冷製
- 佛手白菜
仏手という名の通り、 仏の手のように白菜の芯を見立て、塩、酸味、砂糖で味付け、葉はマスタード風味のピクルス。
- 五香燻魚
昔から燻魚(シンユイ) というのは鯉をはじめとする川魚で作り、 上海料理の代表的な前菜。今回は北海道のアブラボウズによる燻魚で。 添え物は百頁 (バイエイ)。
- 陳皮半
新鮮な牛のレバーを陳皮、 八角などと炒めた料理。
- 干煽冬筍
筍に干し海老、ザーサイを合わせて炒め、うま味をまとわせた料理。
- 干香鹸魚
江蘇・浙江省では冬になると穴子、鱧など塩と山椒をふって乾燥させ、 保存食として用いる。 干したものを水洗いし、蒸してから細切りにする。 紹興酒にぴったりの塩が決め手。
- 酸辣肴肉
肴肉(ショウルウ)とは豚の皮もしくは豚足の皮、すね肉などを塩蔵し、 それを戻し、 肉の持つゼラチン質を生かして固めたもの。今回は酸味と胡椒の味を浸み込ませてある。
- 二吃鶏肝
鶏のレバーとハツを使い二つの味わいに。レバーは甜麺醤、ハツは椒塩を。
■甲魚小籠包
スッポンを上質なスープ、酒、水で炊き、味を出したものにエンペラとひき肉を合わせて餡を作り陰陽の小籠包。
■両筋頁砂鍋
鶏一羽ならではの清らかな味。 塩を一切入れず、鶏だけの清湯。 グルテンを作り、油でゆっくりと揚げピンポン玉のような大きさに仕上げる。 その中にひき
肉を詰める。
もう一方は湯葉を使用し、 生姜、 干しシイタケ、 たけのこの風味を入れて湯葉で巻きあげる。この二つを清湯に入れて。
上海料理では「両筋」という有名なスープで、もてなし料理のひとつ。 広東では金華ハム豚のすね肉などで上質なスープをとるが、 上海料理では水で鶏から出る清らかな味を引き出すことが多い。 いわゆるうま味、コクは弱いが、飲めば飲むほどに滋味深い味を感じられる。
■八寶香燒鴨
鴨の中に塩と香辛料を入れて、 冬菜のうま味や酸味を引き出して、 そこに調理した八の宝を詰め込み焼き上げる。
■梅干菜鱈魚
北海道は稚内で一軒でしか作られていない真鯛の寒干し。 塩も使わずに寒干しした鱈は北海道ならではの伝統的な保存食の一つで、 主に関西 (京都・大
阪)では正月に食される。一週間かけてもどした寒鱈に梅干菜(メイガンツァイ)と皮つき豚肉を合わせて炊く。 和風の煮ものとは違い、また中国料理の紅焼ではなく燜 (モン)という技法で作る。 ※コトコトと炊き上げていく
梅干菜から出る菜っ葉のうま味に寒鱈を合わせることにより、 上品な味わいの一品。
■鴛鴦焼海参
北海道江差、 乙部、 潜水夫が潜って獲るナマコ。 昔は網ですくって獲る漁法だったものを今では1本1本を潜ってとり、乱獲を防いでいる。 また手で獲るこ
とでナマコを傷つけない。 乾燥のナマコを一週間かけてもどし、 二種の味わいで。一つは蝦子の煮込み、もう一つは辛味を使った味わい。
■紅燒大活魚
江蘇・浙江省の上海料理の中ではこの紅焼なるものが海の魚にも川魚にも大変多い。 その中でも代表的なイシモチを使用し、酒、醤油、水で煮込む。 あえ
てスープを使わずに水から煮込むことにより、魚の味を引き出している。
■爛鷄香煨麵
鶏とやわらかくしたものに鶏白湯を合わせる。 そこに野菜を入れ、 麺の粉を振るい落としてから敢えてやわらかく煮込む。 猥麺 (ウエメン)と呼ばれる煮
込みそば。
■デザート
15年物、 30年物を合わせた紹興酒のアイスクリーム