京都「浜作」

「おじいちゃんが作っていた料理をお出しします」。

食べ歩き ,

浜作11/24 2022
「今夜はおじいちゃんが作っていた料理をお出しします」。
そう森川さんは言われた。
稀代の名人とうたわれた、「浜作」の初代であり、板前割烹というスタイルを生んだ方である。
どの料理にも、余計な華美はない。
今の高級割烹の料理と比べると、地味だろう。
しかし当時の常連であっただろう、本当の贅沢を、本当の日本料理を知り尽くした粋人に向けた料理には、真の贅沢が潜んでいる。
庶民のたくましさと貴人の雅が、無駄なく同居した、孤高の美しさがある。
 
先付
霞むし このこ 柚子 浜栗 酢橘
凍てた体に茶碗蒸し、このこが呼ぶ燗酒のうまきこと。
 
口取
柚子釜 せいこ 内子 外子 雲丹 柚子 生姜
葉つきであってこそ、柚子釜と名乗れる。
その光景こそが、冬のありがたみを膨らます。
せいこ蟹の内子と外子に、柚子と生姜が色を刺す。
 
椀替
ぐじ 舟場仕立て 土瓶蒸し
大根、焼ネギ 酢橘 白皮グジ
グジは焼いて少し炊いて
大根すっぽん仕立てのやきネギだし2割
うますぎるので、巣立ち絞って。
その均整が美しい。
舟場仕立てのダイナミズムを生かしつつ、割烹の優美さがある。
グジとワカメ鳴門仕立て
わかめの汁もワカメ入れると不思議とあっさり
 
造り
明石鯛 山葵 菊花
いつもいつもおいしいということのありがたさ
 
小鉢
胡麻和え 法蓮草
椎茸 クラゲ 胡麻
ほうれん草の根っこをすりおろして胡麻と合わせてある。
別コラムを参照してください
 
中皿
丹波栗
子持ちワカメ 柿 銀杏 塩ウニ ギンナン
白酢 唐墨 もろ粉
豆腐すだち少し加えて裏漉し。緩衝材
 
多㐂合
海老芋 粟麩鯨
うずら丸。片栗粉から小麦粉つけて鍬焼き
やはり海老芋と蕪は、冬のハイライトである。
焚き物は、江戸風はお汁がないように炊く
野菜に甘みがないから、砂糖と醤油を使う
京都は、煮汁も飲み干してちょうどいいように仕立てる
 
家㐂もの
鰆みそ柚庵焼き 菊かぶら
柚子の季節だけこう書く
鰆がこれだけ厚く切らんといかん。
斜めに切るとだめ。
中まで熱々で焼かれ、素晴らしい。
柚子皮漬けては、苦味が出るのでダメ。
柚子を最後に絞る。
 
合肴
蕪菁むし
海老 穴子 安平麩 ギンナン 山葵。
冬への感謝
 
飯共
尾鯛
わさび
おろし 合海苔
 
白ご飯
白味噌汁
水菓子
洋梨 柘榴
塗りのおひつ。
五代前の象彦
丸くするのは大変
大きな木
これを作ろうと思ったら1メートル40センチのものから
明示28年戦勝記念に作られた