「日本の八宝菜は時として名ばかりで、八悪菜」。
みんなお馴染みの八宝菜を指して、中国料理通の某作家は、そういわれたという。
「宝」が、入っていないからである。
元々は、浙江、江蘇地方の料理で、八は、たくさんのという意味を持つらしい。
しかし町中華では、高級食材を入れるわけにはいかず、手軽な食材を炒め合わせた。
それでも充分美味しく、日本人に受け入れられた。
だがそのイメージが普及しすぎたせいか、高級中国料理店では、あまり見かけない。
昨日、「八宝菜」いただいた。
なまこ、アワビ、ウニ、干し貝柱、蟹、イカ、エビ、豚肉、青菜、白菜、筍、椎茸、ハム、銀杏他、本当の八宝である。
上品な甘辛いあんの中で、魚介や乾貨、野菜や肉が弾ける。
その様々な食感を、噛みしめ噛みしめ、幸せが膨らんでいく。
そうこれが八宝菜なのだ。
荻窪「北京遊膳」にて。