近所に住む人が羨ましい。 <京都の平生>35

食べ歩き ,

「もし近所に住んでたら。毎晩来ちゃう」
この店に来るたびに思う。
出来ます料理は、約50種類。
それを店主一人で、瞬く間に作ってしまうのである。
客はよそ者一切なし。
近隣の常連客しかいないのだ。
もずく酢からして、きちんとした味わいである。
「きずし」は、しっとりとほどよいしめ具合で、歯に吸いつき、ヒラメのお造りを頼めば「上、中、下、どの部分がいい?」と、大きなヒラメを厨房から見せて、聞いてくる。
そのヒラメはほの甘く、肝醤油つけて食べたら、大至急日本酒。
ヒラメを食べていると、「これ食べてて」と、タイの子とイワシの炊いたのを盛り合わせて持ってくる。
「鞍掛豆の油炒め」は、食べ始めたら止まりません。
「小松菜とお揚げの炊き合わせ」で、気分がほっこりなると、「皮揚げましたん」と、ヒラメの皮をあげたのを持ってくる。
皮の素揚げに笑っていると、「てっさ」が運ばれた。
ふふ、厚切りだから、噛むほどに旨みが滲み出てくるんだな。
こいつも燗酒大至急。
さあお次は、「てっぴとウドの和え物」といってみよう。うむ。柚子が効いて、おいしいよ。
炊いた「海老芋」の優しさに目を細め、「揚げ堀川ゴボウ」の甘みと香りに微笑んで、そろそろシメといってみよう。
極細麺が泣ける「中華そば」は、和風の出汁を生かしたまろやかな味わいで、「海老とジャコの炒飯」は、パラリと炒めたご飯の中で、海老の甘みとジャコの香りが舞っている。
4人でこれだけたくさん食べて飲んで、1人五千円たあ、泣かせるじゃありませんか。
幸い食べログは3.01。
ああ、近所に住む人が羨ましい。