辛い。うまい。安い。酸っぱい。

食べ歩き ,

辛い。うまい。安い。酸っぱい。
噂の三軒茶屋「香辣里」を襲撃。
「腊肉香干」、「紫蘇煎黄瓜」「干鍋腊肥腸」「香辣魚」たまりません。
「香辣魚」の発酵したお匂いに、食欲がいじられます。
さらに、事前にメニュー外で特別にお願いした料理に、やられちまいました。
「酸豆角肉泥」インゲンの漬物と豚肉ミンチの炒め物、つまり湖南の代表的なおかずですね。
インゲンの香りと熟れた塩分、そして酸味が口の中で渦巻いて、「ああご飯。大至急ご飯」と叫ばせます。
さらに「香辣牛肉 」ときた。
湖南風「水煮牛肉」と言いましょうか。
山椒が弾けて痺れさせ、唐辛子が破裂して痛めつけ、クミンが鼻をくすぐり、酸味と牛肉の旨味が舌を抱く。
「もうやめて」という複雑混沌辛酸味香りの津波に、顔が笑いながら放心脱力状態となったのであります。
そして極め付けが、「酸湯羊肉丸」です。
発酵させた米と大根に羊肉団子を入れた酸っぱ辛いスープは、乳酸発酵独特の丸く、食欲をえぐるような酸味に、羊の香りが溶け込んでいる。
この癖のある香りと酸味の組み合わせは。大変危険であります。
食べる勢いが、加速する。
誰か手を止めて。
「いっぱい食べてるけど、お腹すいてくるね」と、ワケのわからんことを言いながら邁進する。
そこで。ご飯もらい、茶漬にいたしました。
ははは。
不気味に笑いながら、羊肉団子を崩し、ご飯と汁と混ぜ混ぜし、ザブザブッ。
「この料理お代わり」。この言葉を言わずに、なんとか踏みとどまった。
さあ締めはどうするか。
暴走が止まりません。
メニュー通りにはいきません。
「香辣里炒飯」燻製豚バラ炒飯を醤油濃いめにして、「醤油炒飯」にしてもらい、「酸豆角米粉」インゲン漬物の汁ビーフンは、発酵大根を角切り入れてもらい、さらに「思いっきり辛くして」と頼みました。
これが、辛い。自から要望しながら相当辛い。
口から炎を吹き、汗水垂らしながら「カラヒ。カラヒ。酸っぱい。うまいけどカラヒ」と、口走り、麺をすすってはスープを飲み、その癒しとして醤油炒飯を食べ、再び麺と立ち向かうといった具合であります。
しかし姫ちゃんは、全然平気という剛の者。
「玉蘭片(大燴筍乾)干し筍の炒め煮はやらないんですか? 」と聞いたところ、「今いいやつを探してる。もう少ししたらできると思う」とは梁さん。
また来なきゃ。
そいつは酒よりご飯だな。