唯一生き残るのは。

食べ歩き ,

  • 1小柱のコロッケ。カラスミパウダー

  • 1小柱のコロッケ。カラスミパウダー

  • 1小柱のコロッケ。カラスミパウダー

  • 2白アスパラと新玉葱のリゾット

  • 3グリンピースの串揚げ生ハム

  • 3グリンピースの串揚げ生ハム

  • 5そら豆のフリッタータa

  • 5そら豆のフリッタータa

  • 6レバー焦げ焼とのカルチョッフイa

  • 6レバー焦げ焼とのカルチョッフイa

  • 7煮ヤリイカとお米

  • 8牛脂をまとったすき焼き風筍

  • 9豚と紫蘇のカツ

  • 11アバッキオ.2

  • 11アバッキオ.2

  • 12熟成ポテトと手に入った山菜のフリットミスト86

  • 13いちごミルク

奥野シェフは打たれ強い。
どんな無茶振りをしても、よき意味で予想を裏切ってくる。
負けず嫌いでもあるのだろう。
だが同時に、受容力、分散力、還元力を備えているのだと思う。
打たれることによって、鋼は鍛えられるというように、年々その創作能力は高くなっていくように感じる。
あるいは、「風に吹かれる葦じゃ折れないが、樫の木は折れる」という言葉にも通じる、レジリエンス(回復力)を持っているのだろう。
先日の無茶振り会のお題は下記であった。
1天豆 のフリッタータ
2熟成ポテトと手に入った山菜のフリットミスト
3牛脂をまとった、筍のすき焼き風
4煮ヤリイカとお米
5牛レバーの焦げ焼とのカルチョッフイ
6小柱のコロッケ。や7
7串カツ。a豚バラと紫蘇 bグリンピース団子と生ハムの串カツ
8白アスパラと新玉葱のリゾット
9アバッキオ
1、2、8、9はイタリア料理の延長線上なのだ、割と簡単
なんとか着地しそうなのが、5.
問題は、3や4、6や7である。
いつもこのバランスを考えてメニューを考えてお願いする。
では無理難題はどうなったか?
3牛脂をまとった、筍のすき焼き風
牛脂ということで、なんとリードヴォーを持ってきた。
リードヴォーの甘辛い漬け焼きと薫香つけた筍に木の芽
である。
リードヴォーは仔牛にある胸腺で、大人になると脂と変化して小さくなり、成牛では傷跡程度になっていく部位であるから、牛脂である。
甘じょっぱい味付けと脂の甘みの出合いは禁断で、薄く切った筍の厚みが見事に合う。
座布団一枚。
次は4煮ヤリイカとお米
黒色に煮たイカの脇には炊かれた米がある
米は、ジャスミンライスをオリーブオイルでアルデンテに炊き上げ、チュッピン(ジェノバの魚介裏漉しスープ)とイカ墨で煮た子ヤリイカをかけてある。
パセリオイルで仕上げた煮ヤリイカは、味が深く、濃厚な海の滋養が絡み合って、ご飯がすすむ。
もっとたくさん食べたい!
素直にそう思わせて、座布団3枚。
6小柱のコロッケ
カラスミパウダーがかけられた小さなコロッケは、寝かしたパン粉の香りと脱水させた小柱の青い甘い香りが、共に歌う。
座布団二つ。
7串カツ。a豚バラと紫蘇 bグリンピース団子と生ハムの串カツ
a豚バラと紫蘇の串カツは、走る豚の自家製ハムのフリットとに、紫蘇が入手できず、代わりスマックをかけ、新玉ねぎとグリーンカレーがしかれている
ハムのフリット、つまりイタリアンハムカツとグリーンカレーの組み合わせ、は危険だと知った世界で、座布団一枚。
7串カツ。bグリンピース団子と生ハムの串カツ
見た目は「どこが串カツやねん」という感じだが、茎を串に見たてた料理であった
花に包まれたグリンピースが優しく、下に敷いたカリフラワーのムースも優しい。
飯尾醸造のプレミアムとムースの甘みでどろソース!を表現したのだという。
そのソースと豆の甘みの出合いがいい。
そして酢がもたらす酢酸酸味は、21年の熟成したワ白ワインと、かちりとハマるのだった。
座布団二つ。
実は、これ以外の無難だと思われたお題の料理は、もっと面白かったがその話は後日。
変化球を投げても投げても撃ち返してくる奥野シェフの料理に、次の言葉が浮かんだ。
「最も強いものが生き残るではなく、最も賢いものが生き延びるのではない。唯一生き残るのは、変化できるものである」。 チャールズ・ダーウィン