非常に珍しい。
カウンターに対面して、ガス台が置かれている。
「料理をしながらお客様と話したいんです」と、シェフは理由を話した。
多くの店は、ガス台が壁側にあり、料理人はお客さんに背を向けて調理する。
効率がいいからである。
しかしその店は、作業台もガス台も、パスタを茹でるための大鍋も、客側にあった。
時折料理法を聞くと、嬉しくてしょうがないんですという気持ちを込めて、話す。
ただレシピを解説するだけでなく、料理を考えたきっかけも話してくれる。
働くこと、料理をすること、お客さんと話すことが、楽しくてしょうがないのだろう。
心の底から仕事を愛しているのだろう。
もうそれだけで、この店に通う理由がある。
食べ、飲みながら、スティーブ・ジョブスの言葉を思い出す。
「素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分がやっていることを愛することだ」。
西小山「mici」にて







