スペインマルベーリャの三つ星、ダニ・ガルシア

食べ歩き ,

海外のシェフが日本の食材を使って料理をする。
そのとき我々日本人はどう思うのか。
ネガティブな面から言えば、この魚や肉は、こうして方がもっと美味しいのにな。
味覚は、往々にして保守的であるから、慣れ親しんだ食材が、異なる調理法で出された時にそう思うことが多いだろう。
だが、驚きはその先にある。
日本人が想像もつかない食材の捉え方で、今まで気づかなかったその食材の魅力を引き出す。
ああ僕らはこの食材のこの一面しか見たなかったと、驚き、感動する。
昨夜の体験がまさにそうだった。
COOK JAPAN PROJECTに登場したのは、スペインマルベーリャの三つ星、ダニ・ガルシアシェフである。
いかにも美味しいものが好きでたまらないという、巨体を揺らしながら笑顔が優しいシェフの才を味わえるのはあと三日、行かないと後悔するぞ。

「長崎県小長井産牡蠣とイベリコハムを二回に分けて3時間抽出したエキスからとったソース 素揚げしたタイムを添えて」
ソースのねれた塩気と旨みが牡蠣の旨みが合う‼️ 一皿目から濃密なエッチが始まった。

「赤インゲンのピューレと北海道産の海水雲丹
鰹節と醤油、米酢をベースにしたソースをかけて」
豆と雲丹である!!FB参照。

「和歌山那智勝浦の本マグロの大トロ
カリカリにトーストしたパン 比内地鶏のスープを通して 佐賀海苔パウダー」
エレガントな、エレガントなスナック。
大トロ自体がエロティックなのだが、その脂をパンの香ばしさや鶏スープの優しい滋味と合わせることによって、軽やかな品を漂わせる妙が素晴らしい。青海苔の香りのアクセントが効いている。

京都満願寺とうがらしと茨城グリーントマトのガスパチョ
「北海道産ほっき貝 パッショフルーツとウォッカのグラニテ
ししとうの甘酢漬け 紫蘇のフォームとともに」。
燦々と太陽が照らす砂浜で、ほっき貝がハンモックに揺られながらトロピカルカクテルを飲んでいる。
パッションフルーツを使いながらもウォッカの使い方によって、強すぎない風味となっている。

シソの爽やかな香り、つぶ貝の強かな旨味、トマトの旨味と香り、満願寺のかすかな辛味、全てが一つの均一美で成り立ったバランスの美しさ。

「北海道産シマエビ スナップエンドウ トマト水のゼリー
トマト水とオリーブオイルのソースのポップコーン液体窒素」
爽やかさと色気の交錯。シマ海老のねっとりとした食感と甘みの、その色艶の中を、トマト水の爽快な旨味が突き抜ける。

「米粉をつけて高温で揚げた尾長鯛 バルサミコ酢と鶏のソース
木の芽と花山椒を添えて」
木の芽と花山椒があるがスペインを感じさせる。
照り焼きソースのようだが、明らかにスペインである。
バルサミコのコクを鶏のブイヨンで濃度をピタリとおさめている。
身が少し緩く、脂はのっているがややだらしない尾長鯛を、キリッとたくましく、野生的な味に仕立て、それと甘いソースを合わせている点
魚の見立てが素晴らしい。

「A5松坂牛とマッシュルームのミルフィーユ シェリー風味のオックステールコンソメとともに
あわび茸と愛知県産西尾市のうなぎのクリームとともに
生胡椒 青柚子の香り」
エロエロ。薄く切られて軽く火を通した牛肉と似たような食感のマッシュルームが舌にしなだれる。
上からかけたオックステールコンソメも適切な濃度

「15分間粗塩で覆い熟成させた北海道産室海峡のホタテ グリンピースを使ったクリーミーなスペイン米料理」
スペインらしい塩気の効いたアロッソ。
青海苔とグリンピースということなる青い香りを合わせる驚き。
粗塩で包んだのか、ホタテの嫌な香りの部分が抜けて、ただただ色っぽい。

「クッキーと牛乳
子供の頃食べたなつかしいおやつ、クッキーと牛乳の組み合わせの再構築、カカオクリーム、チョコスクランブル、クッキー風味のアイスクリーム、牛乳のエスプーマ」
現代的なモダンな仕立てながら、クッキーと牛乳というシンプルな組み合わせを食べていた喜びが凝縮されていて、ほっこりとした気分になる。

「抹茶のクリーム、抹茶のビスキュイ、ホワイトチョコレートと生姜のアイスクリーム、ラズベリーのエスプーマ」

「70%ハイカカオチョコレートのクッキー 奥能登の天日塩、
イチゴのフルーツゼリーの最中 ピスタチオ
ブラックチョコレートトリュフ 日本酒桂月の香りレモン風味のメレンゲ」