日本橋 三越前 蟹王府

盆菜2

食べ歩き ,

盆菜一皿目は、伊勢海老、フカヒレ、アワビ、ナマコ、ガチョウのもみじ、魚の浮袋、肉団子、豚足、ブロッコリーが盛られた。
伊勢海老は上品なあまみを滲ませながら、プリリと弾け、フカヒレはスープの旨みを抱き込んだ太い繊維が、歯を喜ばす。
鮑は養分がじんわりと舌に落ちて、スープと抱き合い、味を深くする。
ナマコは、微かに自分を主張させながらも、ぐにゃりと柔らかく、とろんとしたスープに絡んでたまらない。
もみじを手でつかみ、しゃぶるようにして肉を骨から外せば、てれんと肉が甘えてくる。
豚足は、箸を入れた瞬間に崩れるほどに煮込まれて、とろとろと唇に絡みながら、消えていく。
肉団子の獅子頭は、豚肉の旨味を発散させながら、スープの深みと混じり合う。
浮袋は、ぐにゆりと歯が抱きしめられ、中からゼラチン質の甘みが染み出してくる。
そしてふた皿目は、湯葉や花椎茸がよく、3皿目な、スープが染み込んで一体となった大根が、体をのけぞらせる。
とにかく乾物のコラーゲンが凄まじい。これまたコラーゲンがたっぷり溶け込んだスープと共に、唇に、舌に、上顎に、喉に、口内の粘膜という粘膜を舐め回す。
最後はスープを薄めて雑炊にし、そこへ陳皮を振り、数滴紹興酒を垂らしてみた。
ああ。
これはいけません。