おせちに絶対欠かせないもの

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私にとって、おせちに絶対欠かせないのが、「栗きんとん」「黒豆」「数の子」の三者である。
この、甘い、甘い、しょっぱいと、なめらか、柔らかい、痛快な歯ごたえという三者さえあれば、永遠に酒が飲める。
長きにわたって変わらないが、今年はこの三者に新しい発見があった。
まず「栗きんとん」である。
我が家は一昨年から、うすいはなこさんのおせちをいただくのが定番なのだが、栗きんとんに驚いた。
なめらかさも甘さも変わらないが、香りが違ったのである。
きんとんあんを舐めた瞬間、甘酸っぱい可憐な香りが口を満たし、それが甘美な余韻として残る。
華やかな香りがあることで、あまり甘さを感じない。
栗きんとんとは、かくもエレガントな料理だったのか
これはいけません。
ただでさえきんとんには、恍惚感があるのに、この香りはいけません。
危険である。
聞けば今年から、市販のクチナシではなく、近所で収穫したクチナシを使ったのだという。
この料理の、本当の意味を知った瞬間でした。
次に「黒豆」であるが、これは丹波篠山の老舗豆屋、小田垣商店の物を購入した。
豆が大きく、どこまでも柔らかい。
豆が大きいということが、これだけ多幸感を生み出すのか、痛切に知った瞬間でした。
そして「数の子」。
今回初めて干し数の子を戻してみた。
四日間かけて戻してみた。
食感が違う。
普通の塩漬け数の子は、噛むと、ボリッと音を立てて歯が入る。
しかし干し数の子は、噛もうとすると、一瞬歯が数の子表面で止まり、底からさらに力を入れると、ボリリと割れるのであった。
歯ごたえに根性がある。
そして卵一粒一粒に存在感があり、卵を噛みしめているぞという満足感があるのであった。
さらには、奥底に微かな苦味というか、味わいのしぶとさがあって、塩漬け数の子が軟弱に思えてしまうたくましさがあるのである。
赤ワインと合わせたら面白かった。
数の子とワイン、特に赤ワインは合わないと言われる。
しかし塩漬けの方は、そうでもない。
数の子自体の味が淡いので、変な味が出てこない。
しかし干し数の子はどうだろう。
途端に数の子の中にあるえぐみが際立って、受け付けない。
だが、塩漬け以上に干し数の子は、燗酒を迎え入れるのである。