あえて料理名は書かない。
なぜなら、料理を見ただけで、何のどういう名前の料理か、即座にわかるお馴染みだからである。
「町中華作ってよ」という無茶振りに応え、真面目な北村シェフは、町中華を食べ歩き太ってしまったという。
しかしサカエヤの肉を使い、厳選した野菜や卵を使った町中華は、どれも素材の味が生きていた。
牛肉は牛肉の、豚は豚の、ニラはニラの、ピーマンはピーマンの味や香りが弾ける。
そのことはつまり、上品を生み出すこと知った。
どの皿も穏やかで、使った食材の香りが開き、時には優美で優しい気分になれる。
そんな品のある味付けながら、どの皿ものご飯が恋しくなるダイナミズムがあった。
こんな町中華なら、毎日食べ続けても飽きない。
いやあ参ったなあ。