吉祥寺 「雲蓉」

火鍋という料理の真実を知る.

食べ歩き ,

「雲蓉」では普段、「火鍋」はやっていない。
なぜなら厳選された肉が入った時に、長時間かけてスープを取るからである。
今回は、ジビーフと走る豚を使い、16時間かけて作ったという。
ただ時間をかければいいというものではないらしい。
具合を見ながら、常に火加減を調整しながら、スープを取っていく。
「前、二日間に作業を分けてスープを取ったのですが、それでは味に濁りが出てしまいました。だから今日は本日作ったものです」。
そう北村シェフは、なんでもないように言われたが、最低でも18時には出来上がるように炊いていくならば、午前一時には作業を始めなけらばならない。
カンテツか。
これではそうそう店では出せないわけである。
そうして炊かれたパイタンが目の前にある。
白は辛くなく、赤は辛い。
辛いが辛くない。
どういうことかというと、スープの滋味が優っていて、辛く感じさせないのである。
だから肉や内臓も、魚介類やキノコも、野菜もすべて、そのものを生かす。
極上のスープという温泉に気持ちよく使った、これらの食材の気持ちを考えてみるといい。
普通の火鍋では、辛く、各種漢方の香りなどが食材に調味される鍋だが、これは違う。
食材の細胞にスープが染み込んで、味が活性化されるのである。
だからうまい。
だから箸が止まらなくなる。
肉や魚を入れてすぐに取り出してはいけない。
しゃぶしゃぶと箸を動かしてはいけない。
肉や魚を入れ、箸で掴み沈めたまま、彼らの立場になって考える。
もういいよおという声が聞こえたら、持ち上げて、ごま油、ネギ、香菜、生にんにくなどにつけて食べる。
すべての食材が、今までとは違った表情を見せて、生き生きと舌に迫ってくる。
鼻腔に豊かな香りを流入させる。
本日の出演者は、まず肉はすべてジビーフ で、向かって左が中バラ、右がブリスケ。
内臓皿もジビーフで、一番手前のタンから時計回りに、天肉、ハラミ、サガリ、ハツで、真ん中がテール(少し火鍋に入れた後の写真、噛みしめる喜びに震えた、天肉とテールの美味しいこと!)
センマイ。
鹵煮が、アカセン、ハチノス、ブラウンスイスのスネ肉(鹵煮も鍋に入れると美味しさが膨らむのだな)。
魚介が、キジハタ、牡蠣、白子
野菜が、チシャトウ、紫山芋、ジャガイモ、レンコン(レンコンがたまらない)。
キノコが、天然ナメコ、柳松茸、ハナビラタケ。
火鍋以外が、上ミノの自家製発酵唐辛子炒め(素晴らしい!!!!)
シマチョウ唐揚げ(素晴らしい!!!!)
餃子
ビンセン
炒飯(これにスープかけて香菜やネギ入れて食べるとたまらない)
以上、火鍋という料理の真実を知った夜だった。