京都「浜作」

板前割烹の魅力

食べ歩き ,

板前割烹の魅力とは、切る「割」と煮炊き焼く「烹」が、目前で行われ、料理が出来上がっていく様を見、香りや音を味わう点だろう。
あるいは、熱いものに冷たい餡をかけた、秒単位でおいしさが失われていく料理も、座敷や料亭では難しい。
そしてなにより、胸に迫るダイナミズムを感じる料理と、ほわっと心を温めるスタティックな料理との押し引きを、心ゆくまで楽しめることにある。
板前割烹の祖である「浜作」では、まさにその魅力を存分に味わうことができる。
淡く味付けをした煮豆から始まり、寒さに思いはかって人肌に仕立てた胡麻豆腐、独特の食べ方でフグの新たな底力を知るてっさや、切ない雪中筍のお椀、初物の白魚の菜種づけ、生このこの茶碗蒸しと続く。
そして最後は、青首鴨を6種類の料理法で出された。
料理は、次第に味わいを高めてクレッシェンドし、5皿目でフォルテシモになつて、最後の鴨煮麺では、コーダの如く穏やかになって深い余韻を残すのだった。
料理の詳細はまた、後ほど。