今回の無茶振りでは、最も難度が高かったに違いない。
イタリア料理店で、「春キャベツと豚肩ロースの回鍋肉」である。
「これからこれを揚げます」と目の間に置かれたとたん、食材すらわからなかった。
大きな球体に、謎の茶色いソースがかかっている。
聞けば、これが回鍋肉だという。
キャベツらしい。
しばらくして茶の色を深めたソースと、緑から焦茶色に変わったキャベツが現れた。
謎のソースは、ピーナッツバターであり、上から熱い油を何度もかけて仕上げ、外側の加熱されたキャベツだけを使うのだという。
肉はサスケ豚の肩ロース薄切りをしゃぶしゃぶにしたもので、トリュフとバルサミコが下にあり、キャベツとピーナッツバターソース、カルダモンが添えられている。
ああなんたることか。
味わいは、回鍋肉である。
ピーナッツバターの甘み、バルサミコの酸味とコクが織りなす回鍋肉である。
しかも豚の薄切り肉とキャベツの甘みの優しさが調和し、そこに少しトリュフが香ってエレガントが生まれている。
やられたなあ。
さらにそこに千葉さんが、シチリアのオレンジオーガニックワインを合わせてきた。
ふくよかな杏子のような果実感と豊かな酸味、ほのかに甘い香りと白コショウや甘いスパイスが香るワインが、見事に料理と抱き合い、うっとりとさせるのである。
麻布台ヒルズ「ブリアンツァ」にて



