メゼババ4/8
それは、ブリオッシュから始まった。
フリウリは毎朝焼くのだという。
きめ細かく。気泡が小さい。
もっちりと歯が包まれるが、数回噛むだけで儚く消えてしまう、
「カルチョッフイローマ風」。
ニンニクとアンチョビを詰めて。
ほのかな苦味は霧のように消え去って、柔らかな甘みが、じわじわと忍び足でやってくる。
ヴェネツィアの近くのバッサーノ産。水分がパンパンなので熱伝導率が高い。
ZIDARICH
ジダリッヒ ヴィドフスカ
皮からのタンニンほんのり、ボリュームがあってコクがあり、染み入る感覚。還元臭ない。
「白アスパラガスのグリル。ホタルイカのソテーのピュレ」。イタパセリ、ニンニク
パシュッ。白いミネラルがはじけ飛ぶ。土の生命力に撃たれていると、ホタルイカそのものというかホタルイカでありながらホタルイカ以上のピュレが、海と大地をつなげる、
BRESSAN アプリコット、ピーチ、少しアーモンド、ハチミツアカシア
「ウナギ、古代ローマ風」 蜂蜜、酢 ガルム。赤ワインヴィネガー
レモンが花山椒のよう。
カリッと焼かれた皮の香ばしさ、ガルムの練れた塩気、蜂蜜が合わさった甘辛さが鰻の脂を持ち上げる。
LA casttera 2005
「レバー のグリッシーニ揚げ」
加熱した香りが妖艶にして、精神をくすぐる。それも新鮮だからだろう。
鉄分の凛々しさが、グリシーニの香ばしさと合わさって、食欲を煽るが、切れ味がある
リージ!エビージー
「ウスイマメのリゾット」。
優しく甘い豆の香りの後から、ほうき鶏のブロードの深く穏やかな味が染み入る。
そして静かに余韻に広がっていく。
「亀戸ラーメン」
フェットチーネの小麦粉のかすかな甘い香りと、ほうき鳥、焼いた近江牛、野菜の出汁をコラーゲンが優しく溶け込んでいる。
もし自然の味がするラーメンという表現があるなら、唯一これがそうであろう。
「鳩のフリット」
いうてみれば鳥の唐揚げである。
しかしその鳩は叫ぶ。
噛め、肉を毟り取れ、舐めろ、しゃぶれ、口づけし、もっと歯を立てろ。
本能をむき出しにしろ。
我は鼻息を荒くし、無口にして、目を見開いて、肉汁一滴も逃すものかと、大口を開けてかぶりつく。
垂れそうになるエキスを吸い、舌で自らの唇を舐めまわし、歯茎をむき出しにして、ただただ無心で肉にかじりつく。
それがこの料理への最大の賛辞である。
「プリン」
カラメルの苦味と甘みのバランスが際を攻めて、コーフンさせられる