どうしてこんな店が、東京にはないのだろう。

食べ歩き

どうしてこんな店が、東京にはないのだろう。
お邪魔するたびに思う。
特別に珍しいものがあるわけではない。
独創的でもない。
うにやらキャビアやらトリュフやら高級食材で飾る料理でもない。
見知った料理なのだが、どれも一筋味の入り方に道義がある。
今夜はお椀が素晴らしかった。
静かな淡味のなかから、奥深い滋味がゆっくりと顔をもたげてくる。
椀種は、ササゲに胡麻豆腐、茎芋にアワビと、大阪のお椀らしく多くのものが入るが、どれも出すぎていない。
お造りも冷物も揚げ物も、極めて質高く、これだという味の芯と理りがある。
独創的ではないと書いたが、どの料理にも他にはない、ご主人だけの仕事がひっそりと生きている。
そんなご主人は気さくで、冗談ばかり言って、何度客を笑わすことか。
お料理だけで一万八千円。
心斎橋「もめん」は、カウンター9席。
新規のお客さんは取らず、常連だけで予約が一年間埋まってしまう。
★鱧の落とし 加減酢ジュレ 梅肉
★鮎ととうもろこしの揚げもの
★お椀 ササゲ 胡麻豆腐 芋茎 鮑
★お造り あこう(梅肉)  ケンサキイカ(生姜醤油)
★ひやむぎ ふりゆず
★メイタガレイ唐揚げ
★ご飯 味噌汁 中とろお造り 香の物