赤羽橋「寛心」

食べ歩き , シメご飯 ,

昨年開店した板前割烹(個室もあり)。

京都「嵐山吉兆」にて二十年以上修業した中井甚恭氏の誠実かつ熟練された料理を味わえる。

7500円のおまかせコースもあるが、最初にお椀やお造りなど三品が出、その後はアラカルトで自由に組み立てられる6600円のコースがいい。

ある日の3品は、丁寧な包丁仕事が生きた「椎茸アスパラ生蛸と揚げ蛸吸盤の酢の物」、うまみ深い「鱧のお椀」、極めて質の高い「鮪、イサキ、アオリイカのお造り」。

当日アラカルトで選んだのは、じっくりと煮含められたものだけが持つ、しみじみとしたうまさ広がる「修学院の賀茂茄子の冷やし焚き合わせ」と香り高い「胡麻豆腐」であった。

胡瓜を塩揉みし、徹頭徹尾殺して、食感の鮮やかさを生み出した「胡瓜とクラゲの胡麻酢和え」。添えたレタスと細ネギがいいアクセントを編んでいる「ピータンちり酢」もいい。

魚のカマを焼きほぐし、水分を絞って細切りにし、醤油で炒めたセロリと合わせ、醬油、金胡麻、塩で調味した、酒が恋しくなる「焼きカマセロリ」と、スジアラの少し獰猛な香りと、甘酸っぱい地の合わせが見事な「スジアラ南蛮」もよかった。

仕事がきれいで、中国料理の相性から考えたという山椒塩が芋の甘みを活かす「小芋唐揚げ」。噛み応えある肉からエキスが迸る「京赤地どり塩焼き」、皮目に隠し包丁をし、下に醤油を忍ばせた「水茄子」など随所に光る誠実な仕事が素晴らしい。

京都の割烹で、合間に出る精妙な小鉢をつまみながら飲みたいなと願っていた気分を叶えてくれる。また食材さえあれば客の好みにも応じてくれる姿勢も見事、

日本酒の揃えもよく、有名銘柄もあるが、今時の割烹では珍しい、出雲富士、天隠、秋鹿など燗酒が美味しい日本酒の揃えがあるのも嬉しい。

締めはぜひ「胡麻豆腐ご飯」を。

炊いた胡麻豆腐を白ごはんの上に乗せたご飯で、豆腐の優しい味わいと食感とご飯の出会いに、新たな喜びを見つけるは、必至。アラカルトは550円から2750円。要予約。