その「きりたんぽ」は、生きていた

日記 ,

その「きりたんぽ」は、生きていた。
そう、今まで食べたきりたんぽは、すべて死んでいたんだね。
噛めばカリリと音が立って、中はふわりと甘い。
噛むほどに米の存在感が膨らんで、幸福が体に満ちていく。
カリリ、ふわり、カリリ、ふわり。
その軽快な三拍子は、日本の歌だ。
さらに、2回目のきりたんぽは、味が変わった。
汁の香りと甘みが沁みて、次第に老成していくのである。
したたかな味わいになっていくのである。
米をつき、炭火でじっくりと焼く。
一本一本、ミリ単位で焼き加減を変える。
汁は、二日間寝かせたガラを酒と水を同割りにし、出汁ガラの昆布を入れて、じっくり沸かしていく。
そして一晩寝かせたものである。
そこに比内鶏と芹(茎と根)入れて煮込む。
この滋養を、次第にきりたんぽが吸い込んで、米の甘みの中に抱き込んでいく。
真のきりたんぽ鍋とは、お米の力を知るためにあるのだね。

「銀座 杉もと」のきりたんぽ鍋他の料理はタベアルキストクラブにて
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