神楽坂「エノテカ・ラウラ」

食べ歩き ,

神楽坂「エノテカ・ラウラ」を勝手に救済。今年二月に出来たばかりの店だ。
男女二人のサービスが心地よい。客との間を保ちつつ、肩の力が抜けていて、さりげない。リスペクトがあり、料理がおいしくなる説明と、的確なワイン選び。
少しのウイットと機敏。我々は快適に過ごせた。
アミューズの生野菜に添えられた、イワシのムースのコク。
前菜の「ホワイトアスパラのビアンコマンジャーレ」は、白アスパラムースの滑らかな甘さとグリーンアスパラソースの香り、帆立のうま味の精妙な調和にうっとりとし、
「豚コッパのカツレツ」(豚足や耳のメンチだ)に込められた、様々な食感に歯が喜んだ。
プリモピアットでは、ふんだんに雲丹を使ったトレネッテや、これでもかと夏トリュフを削ってくれたジャガイモのラビオリの贅沢も良かったが、「キッタラビアンカ 子羊と野菜のラグー」が秀逸。
子羊の香りと滋味、野菜類の甘みが丸く溶け合って、凛々しいながらも穏やかな旨味の結晶を滲ませる。
粉のうま味、噛みしめる嬉しさを感じさせる切ったらと食べれば、心安らぎ、顔は崩れる。
メインはやはりスペシャリテの「ボリートミスト」だろう。
煮汁のブロードの黄金色の輝きと、舌に染み渡る深々とした旨味。
タンや、鶏、牛すね肉、豚バラ、サルシッチャらの確かな味わい。
パン粉による「ペアラ」、リンゴのモスタルダ、サルサヴェルデ、バニュットロッソといった正統ソース類の味の鮮烈。
丹念な仕事が、ベローナの風を呼び込む。ああおいしい。
ドルチェの「ヘーゼルナッツのプリン」の甘さも見事。