球体の中身はなんだろう?

食べ歩き ,

この球体の中身はなんだろう?
アランチーニという米のコロッケか、あるいはジャガイモだろうか?
一口かじって目を見開く。
それはカブだった。
香ばしい衣が弾けると、みずみずしいカブの香りが放たれた。
カブの優しさが、そのまま座っている。
丸く整えたカブを炊いて、フライにする。
プティナイフで、入念に丸く、丸く削り取る姿を想像した。
上手くなれと念じながら、カブを炊いていく姿を想像した。
パン粉のキメを細かくし、カブにつけ揚げる姿を想像した。
カブの葉を炒めて、オレキエッテと合わせる姿を想像した。
鮪のボッタルガを、慎重に散らしていく手つきを想像した。
新しい料理を創る勇気と不安を抱えながら、手を動かし続けたのだろう。
フライには、料理人の鼓動が詰まっていた。
かじる度に、新たな天体を生み出す喜びが伝わってくる。
私はそんな料理が好きだ。
「ラ・ブリアンツァ」カブのフリット。