シックアプテートル11/25

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シックアプテートル

オーナーソムリエの星壽仁氏と料理人の二人で切りもる小体な店で、夏より元銀座「アジル」のシェフだった村島輝樹氏が就任、俄然面白いフランス料理店となった。

夜のコースは7皿構成。

★一皿目は「シュークルート」

ソーセージ類と酢キャベツを煮込んだアルザスの郷土料理だが、皿の上には白いソーセージとジャガイモのピュレしか見当たらない。ソーセージには豚肉と酢キャベツが詰まっており、ピュレには燻製がかけられ、ベーコンを入れずに燻香を感じさせている。キャベツとジャガイモの優しい甘みが感じられて、無骨な郷土料理がエレガントさを纏っている。

「白子」の料理は、低温で加熱した白子の下には菊芋のピュレ、上にはブルギニオンバターと乾燥ケイパー、文旦を散らした料理。

白子はとろんと色気を放ちながら甘く溶け、それを菊芋の包容力を感じさせる甘みが受け止め、ケイパーや分担の酸味が引き締める。精妙に計算されたバランスが美しい。

「リードヴォ」。フレッシュなリードヴォを軽くソテした後にオーブンに入れ、最後に色付くようにリソレし、モリーユとフリカッセにした料理は、なにより食感がいい。クリっと弾むようでもあり、ふんわり歯を包み込むような感覚もあるリードヴォには、まだ命の滴が残っている。リードヴォの甘みはクリームのコクと結びつき、香りはモリーユの香りと響きあい、興奮を呼ぶ。

「熟成マッシュルームのフラン ペリグーソース」熟成によって旨味と香りを膨らましたマッシュルームの強かさとトリュフの妖艶香が優美に抱き合う。、

「甘鯛のジャンボマッシュルーム エメルジョンソース」は、薄らとロゼ色に仕上げたキュイソンが素晴らしい

「シストロン産仔羊のロティ」は、この仔羊が持つ、綺麗な味わいを活かした火入れがよく、肉の美味しさを素直に味わえる、ソースの味や量が清々しい。

デセールはバニラアイスとチョコレートフォンダン。珍しくはないが、バニラの香りの高いこと。カカオの濃密なること。食べ慣れたバニラアイスの魅力に目を見開くこと必至。

昼金、土曜日コース7900円。夜火曜日~土曜日コース12000円、15,000円フルペアリング 7500円