札幌満腹旅行・報告。今回は夜の散策編である。
まずは札幌駅前「味百仙」の名物「ポテトサラダ」でスタート。
オーソドックスなポテサラに、たたみいわしが乗るという個性である。
たたみいわしの食感と塩気がアクセントになって、面白い。
続いて、女子バル巡り。今札幌では、女性料理人やサービスの人が独立して、次々と店を出しているという。
★一軒目は、「クロッキオ」。厨房、サービス4名すべて女性。その夜は、なんとお客も女性ばかりであった。
牡蠣の滋味に見事に合う、「牡蠣とセロリのムース」。鮮度高い、「ヤリイカのソテー スミイカソース」。「アボガドタルタル」で、ワイン飲む。
居心地よく、もっとワインが飲みたいと後ろ髪をひかれる思いを振り切り二軒目へ。
★「マガッツィーノ」は女性一人が切り盛る、小さなお店。トマトと揚げ鯖甘酢、自家製ラムジャーキーなど魅力的皿に誘われながらも、「江丹別の青いチーズ」を注文。JALのファーストクラスに使用され、途端に入手困難となった、伊藤ファームのチーズだ。
青が綺麗に入り、ミルクの甘い香りが広がる、ブルーチーズの原点のようなチーズでワインを飲み、心安らげる。
★三軒めは趣向を変え、中国料理「茶月斉」へ。フレンチのようなモダンな内装でいただく、創作中国料理の店である。
品書きには、道産の野菜、魚介、 肉を使った、魅力的な料理が並ぶ
甘いイカとの食感の対比が面白い、「朝イカと布豆腐の和え物」。青々しさが口の中で弾ける「長沼産ゴーヤとジャコ炒め」。
北海道ならではの、夏平目の優しい甘みが生きた、「平目とツル菜の水餃子」。
そして淡泊なカマスを干すことにより味を強め、黄ニラのアクセントをつけた、「干しカマスと黄ニラの焼きそば」。道産の食材に敬意を払った料理に打ちのめされる。
★さあ再び女子バル巡り。まずは女性二人で切り盛る「メンタ」。
ここで出会ったのは、「フーゴ」なるカクテル。
ミントをつぶし、サンブーカを入れ、そこにスプマンテと炭酸水を入れ混ぜる。
世の憂さが一気に晴れる、南チロル地方特有のカクテル、イタリア版モヒートだ。
★最後は薄野「サリュ」。福島真理子さんという、素晴らしいサービス人が営む、ワインバーで、更け行く夜を楽しんだ。
★翌日は、札幌一と地元人が推す居酒屋、「こなから」へ。
驚いたのは品数の多さ。「いい魚を見ると、後先考えずに買っちゃうんですよねえ」と、嬉しい発言をするご主人、小割さんが営む店である。
雲丹に品がある、「古平の塩水雲丹」。
厚切りの刺身から甘味が滲む、「島枚の活〆カワハギの肝あえ」。
冬瓜、カボチャ、ズッキーニなどを、ゼリー状の上質な出汁でからめた、清涼が体を駆け抜ける、「夏野菜冷やし汁」。
逞しい蟹足の味や脱皮前の甲羅、濃厚な味噌の味わいに、ただただ興奮する「花咲蟹」。
食感に狂喜する、「襟裳のつぶ貝」。
香りの鮮やかさ、「苫小牧の北寄貝」。
個性が穏やかな、「羅臼の赤ほや」。コリッと甘い、「真イカ」。
海の豊饒、「水貝」。ヒカリを熟成させて甘みを出し、微塵切のピーマンと厚切りのハムと玉ねぎが、見事な食感を生み出す「ポテトサラダ」。
そして締めは、ワサビとマヨネーズを合わせて塗ったトーストに挟んだ、〆サバ! 〆サバがトーストと見事になじんで、うまい。悶絶である。
★「こなから」後は、これまた札幌一と奨められた「ホルモン銀牙」。
マルチョウやレバーの鮮度高い、キレのいい味わいに酔い、ワインを飲みながら、札幌の幸せな夜に、深く深く沈んだ。