塩牛乳である。
水牛の生乳に酢を入れて固め、それを塩蔵したものだという。
その塩牛乳とキャベツを炒める。
水を入れて塩辛さを緩和させる。
ただそれだけなのに、キャベツが甘く猛々しく、練れた複雑な塩気が、猛烈にご飯を恋しくさせる。
そしてもう一品は、「汚れカス鶏」。料理にとんでもない名前をつけたものだと思うが、ポイントは、「コールラビの漬物」なのだという。
それも丸漬けや細切りの漬物ではダメで、千枚漬けのように薄く切った漬物がいいらしい。
鳥のムチっとした体に齧り付けば、シャキッとコールラビが弾けて深い塩気を漂わす。
そこに棗の甘みが絡み、10年ものの陳皮の香りが抜けていく。
鶏肉、漬物、棗、陳皮の4者の風味が次々と現れて、深みに落とし、箸が止まらなくなる。
中国は広東省仏山市の料理。順徳出身の李小龍も食べていたのかなあ。
「蓮香」にて。