赤垣屋、神馬、ますだ、ほっこり屋、喜幸 高倉など、京都には素敵な酒亭がたくさんある。
だが最近のお気に入りは三軒あって、その一つは一乗寺にある蕎麦屋である。
蕎麦屋だから、土日は通し営業というのがいい。
堂々と昼酒をいただけるのがいい。
そして日本酒の銘柄を見て、嬉しくなった。
マニアックというか、酒好きなら思わずニヤつく品揃えで、「燗酒を大事にしています」という日本酒愛が溢れている。
一杯目には、どぶソーダを飲んでから、杉錦の燗酒を頼んだ。
突き出しはおからで、やがて運ばれた杉錦は、燗付がピタリと決まっている。
杉錦は丸く、優しく、ふんわりと心と体を抱きしめる。
温泉に入ったかのように、精神をもみほぐす。
肴もいい。
酸っぱい白菜古漬けで飲み、天ぷらにしてから甘辛い天つゆをかけまわした「ネギ天ぷら」で飲み、出汁巻でほっこりと和んで、飲む。
出過ぎないが、酒が恋しくなる味付けである。
さらには上出来の「出汁巻」で飲み、こっくりと濃い味で煮込まれた聖護院大根と筋とこんにゃくとスジ肉による「すじこん」は、燗酒泥棒である。
次に弁天娘を頼み、ほんのりと甘い上出来な燗付で飲む。
ここいらで頼んだ「おつまみ出汁」がいい。
つまりかけ蕎麦のつゆに天かすとネギを入れたものである。
つゆをちょいと飲んでは、すかさず燗酒をやる。
ここいらで弁天娘のおかんを頼んで、焼き油揚げといってみた。
最後は開春を頼み、京地鶏の塩焼きをお願いした。
ああ幸せだ。
最後は、せいろをつつっと手繰ろうかい。
後の二軒はまた後ほど