「ここにいる時が、一番楽しいんです」。

里山十帖

 

「ここにいる時が、一番楽しいんです」。

そう桑木野シェフは、嬉しそうに笑われた。

里山十帖の裏手にある、発酵部屋を見学させてもらった。

様々な野菜が樽の中で、発酵している。

様々な果実が、瓶の中で発酵している。

人里離れた森の中にあるせいだろうか、どの樽もいい表情をして、静かに微生物が活動している。

雪深い山間部での越冬する叡智が、ここでは息づいていた。

大寒の頃

款冬華 ふきのはなさく

「山の薬膳出汁」

山菜の根っこや木の実

山菜の根(ナルコユリ、トコロイモなど) 山の実(キハダやツノハシバミなど) 庭のハーブの根

野菜の皮の乾燥

野菜出汁と鴨の出汁

旨みか、体と心をじんわり温める。

一口で、細胞に染み渡っていく多幸感がある。

まだ未熟なムカゴか、しみじみとうまい。

「栃餅」大納言 甘み ほうば

「白子」

たこ焼きならぬ白子焼き

「鰤と人参」

甘夏と菊

鰤お造り オレンジ、かきのもと食用菊 合わせて食べると、ぶりが違う表情になる。

「雪景色」

八海山の酒粕汁

牛蒡、人参 大根 黍 クワイ

黍餅が素朴でおいしい

八海山の大吟醸おかんが合うこと

「大根 保存と発酵」

黒大根、緑大根 紅しぐれ大根 様々な発酵食品

ソース 発酵の汁を少し

「海と大地」

イシモチ 白菜 神楽南蛮

この日の最も気に入った一皿。

味噌漬け のイシモチのそっけないような旨味から噛み締めると出るふかいうまみと、白菜の自然な甘味が溶け合う美しさ。

青菜の香りと神楽南蛮の辛味が効いている。

「妙高の短角牛」

牛蒡、人参、大根、里芋

揚げた、根野菜や大根を巻いて食べるといい。

牛肉のジュと野菜の汁が素晴らしい

「ご馳走ごはん」