富山「ふじ居]

血潮の味。

食べ歩き ,

ブリの血合の刺身である。

いくら血抜きされているとはいえ、普通刺身では匂いが出て、食べられない。

しかし朝獲ったブリを昼に食べるなら、できる。

想像するような柔らかさではなく、まだ筋肉に張りがある点も、刺身として生きる。

ごま油と塩にまみれた赤い身を、一切れ口に運ぶ。

途端に、口の中を血潮が駆け抜けた。

勇猛な鉄分とレバー刺しに似た甘みがあって、鼻息を荒くさせながら心を溶かす。

これはたまらないと、お替りをもらい、白いご飯の上にのせた。

左は、血合の刺身、右は砂ずりの刺身(腹の一番下の部分)の大根おろし醤油とわさび載せである。

砂ずりは、刺身の下にあるご飯を箸で持ち上げて、寿司のようにして食べた。

むむむう。

温かいご飯いと出会って、脂の甘い香りが膨らんでいる。

一人ほくそ笑みながら、今度は血合とご飯を同じようにして食べる。

これもまた、そのほのかな甘みがふわりと増してご飯の甘みと響き合う。

やられました。

完璧に13.5kgのブリに打ちのめされました。

 

富山「ふじ居」にて。