麻布台ヒルズ「デプスブリアンツァ」

1月の無茶振り。

食べ歩き ,

ブリの分厚いカルパッチョ、かぶら蒸し、カリフラワーのスープ、タラと根菜のごった煮、タルトゥーボのグラタン、鴨とせりの鍋、ごぼうと蓮根のリゾット、アメリカンドッグ タラコパスタ2025年バージョン。
これが1月の無茶振りである。
いつも二ヶ月前に僕が考えて、九皿から十皿を無茶振りする。
自分の中で決めているルールは二つ。
1、 全皿が無茶振りではなく、最低三皿以上は季節のイタリア料理をお願いすること。
2、 高級食材に走らないこと。
以上である。
この中で最も難関は、アメリカンドッグであり、次が蕪蒸しと鴨とせりの鍋であろう。
こんなふうに作るかもしれないと、いつも想像して席につく。
だが奥野シェフは毎回、いい意味で期待を裏切ってくれる。
その驚きがいつもあるからときめくのである料理、より無茶振りしようという思いが膨らむのである。
今回はどれも素晴らしかったが、中でも目を見開いたのは、「かぶら蒸し」だろう。
蒸したおろしかぶらの下には、奈良漬とソーテルヌが隠れている。
それより、おろしかぶらの上に乗ったトリュフである。
穏やかなかぶらの甘みをトリュフは凌駕して、邪魔するんではないか。
食べる前はそう思った。
しかし一口食べた瞬間に、鳥肌が立つ。
おろしが負けていない。
不思議なエレガントが生まれているではないか。
これが、根菜としてのかぶのしたたかさなのか。
トリュフとかぶという、土の中に生きるもの同士が通じる気持ちなのか。
素敵な出会いであった。
もう一つは、鴨とせりの鍋だろう。
シャフは、綺麗に根を掃除した三関の芹を手に持って現れた。
出された皿には、鴨はいない、
だが鴨の濃厚な出汁で、根っこは一分、茎は30秒加熱したのだという。
そこに少量のブールブランとブレザオラという、うまみを補填していた。
食べるとなにより、根が甘い。
その甘さを噛み締めていると、遠くに鴨がいた。
芹の凛々しい甘みを、優しく見つめる鴨がいた。
麻布台ヒルズ「デプスブリアンツァ」にて。