鳥羽の魚は爆ぜている

食べ歩き ,

鳥羽の魚は爆ぜている。
やあ、どいつもこいつも、ミネラル豊かな水分を溜め込んでみずみずしい。
いさき、よこわ、カンパチ、すずき。
ほら貝、かつお、鮑にモンゴイカ。
サザエに平目、檜扇貝に岩牡蠣。コチに鰺。
すずきは爽やかな香りを漂わせ、イサキはねっちりと甘い。
モンゴイカは歯に甘くからみ、コリコリとしたほら貝は、噛み締めるほどに甘みがにじみ出る。
岩牡蠣は驚くほどミルキーで、白子を食べたかと思うほどいやらしい。
あっぱ貝とも呼ばれる檜扇貝は、ちょっとお下品で濃密なうま味がたまらない。
見事に太った焼きかますに箸を入れれば、湯気が上がって、その身はほわほわで、どこまでも優しい甘みに満ちている。
ウニをスプーンですくって食べれば、品よく濃縮した甘みに気が遠くなり、コチはプリンとした食感で、歯を喜ばせる。
鮫たれもタコも、鰺も酒が進んで困るぞ。
ああ、鳥羽の精粋三軒巡って、痛飲するも、まったく酔わないいい気分。
これもまた、みずみずしい魚の生命力のたまものか。