青山 ドンチッチョ

食堂とはかくあるべし。

食べ歩き ,

食堂とはかくあるべし。
バンコ(カウンター)は、食べ慣れた大人のカップルで、皆好きなように飲み食いしている。
皆大声で喋りながら、食べ、飲み、酔い、どの席にも笑顔がある。
大声がうるさくなく、高い天井に響いて、美味しい賑わいとなる
多少のわがままもきいて、自分の好きなように頼める。
ここに来るたびに思う。
人生って悪くないねと。
その夜は知り合いに、三組も出会った。
レストランで知り合いに会うと、非日常感が崩れて、時としてがっかりすることもあるがここは違う。
楽しい夜だったねと無言でわかり合う連帯感があって、胸が弾むのである。
その日はカポナータから始めた。
僕が好きなのは右側のナスだけのカポナータであって、どちらもシチリア風に赤ワインヴィネガーと砂糖が効かせてあるが、なぜかナスだけの方がアグロドルチェ感が強いからである。
そうまずイタリアのビールを飲んでから、ワインは「飲み放題コースでお願い」と頼んだ、
そんなコースなどない。でも阿吽の呼吸で、「安くて美味しいワインをガバガバちょうだい」という意味なのである。
次は、イイダコのマリネと赤玉ねぎセロリケッパーフレッシュトマトのサラダ。
マリネの塩梅が良く、塩と酸の具合が良く、セロリの香り高く、イイダコの食感良く、ワインがグイグイ進みまくります。
プリモは、大好きな「生ハムのレモントマトクリームのスバッカデッレ」。
マカロニを半分に切ったようなスバッカデッレに、トマトクリームの濃厚な甘みとそれを爽やかにするレモンゼストがきいて、大笑い。
さらに「ブロッコリーのペーストとヘーゼルナッツ、スカルモッツァチーズのリゾット」。
このブロッコリーの静かな甘み、チーズのコク、ナッツの香りにコメの甘みが加わって、さらに大笑い。
セコンドは、大船渡から今日届いた魚を聞いて「マゾイのオーブン焼き」。
「プチトマトは少なめで、下にジャガイモと玉ねぎ敷いて」と、お願いした。
マゾイのしぶというま味もさることながら、魚のエキスを吸った玉ねぎがたまりません。
そしてドルチェはパスして、食後酒へと進んだが、何かつまみが欲しくなり、パタティーネフリットにローズマリーを散らしてもらった。
ここのフライドポテト危険なのです。
ですから最後に頼むのが正解なのであります。
スタッフと談笑し、入ったばかりの石井ちゃんと冗談かわし、シェフと美味しんぼ談義して、ああ今日も酔った、食べたと帰路につくのでありました。