「お帰りなさい」。
カブにそう言われた。
今朝からぐっと冷え込んで、ようやく冬になった。
そんな日に、この料理と出会える喜びに感謝する。
寒さが、料理の滋味をぐっと深めていく。
「また会えたね」。
僕は胸の内でそう呟いて、手を合わせた。
赤坂「懐石 辻留」かぶら蒸し椀。
車海老と百合根は茹で、穴は子つけ焼きにする。 は茹でて
かぶらは、おろしたものを搾り、卵白と塩で混ぜたものに、極細切りの木耳で景色をつけ、薄葛の吸い地で仕立てる。
吸い口のわさびは出会いもの。