年の瀬にゼータクをした。
「すぎ田」に出かけて、エビフライを肴にして、ビールと焼酎お湯割をやる。
「最近なかなか入んなくてねえ」と、店主が嘆く海老は、堂々たる大きさである。
カリリ。
衣に歯を立てると、海老の甘い香りが口を埋めつくす。
一切れは塩で、一切れは優しい味わいのタルタルソースで、一切れは少しだけリーペリンをかけてカラシをちょいと(これはお湯割りがうけとめる)。
尻尾の部分もしっかりと揚げられ、食べやすいように半分に切られている。
これは塩を振って、ビールで迎え撃つ。
さあ次は、ロースカツである。
この店のロースカツは、姿がいい。
置かれた瞬間、息を飲む美しさがある。
まずは何もかけずに箸でつかんで口に運ぶ。
口をあんぐりと開けた瞬間、ラードの甘い香りが近づいて、食べる前によだれが出ちゃう。
ペリカンに特注した衣は、カリッと軽快な音を立て、歯は肉にめり込んでいく。
きめ細かい肉に歯が抱かれ、肉汁がじっとりと広がる。
細い切り幅もいい。
このカツの厚みとのバランスが良く、最も肉を美味しく感じさせる切り幅なのである。
次はソースだな。
例えば端のかぶりの部分は、脂身にリーペリン、肉の部分にトンカツソースをかけ分けてもおいしいぞ。
あと忘れちゃいけないのが、溶き芥子。
溶き立てゆえに、辛味がシャープで香りも高い。
お新香も手抜きなく、ご飯は甘く香り、豚汁もしみじみ美味しい。
豚と豚がぶつかるので、豚汁として豚肉を入れて出汁は取っているのに、豚肉は入ってないという細かい配慮も憎いなあ。
そしてなにより嬉しいのは、いつもお元気な店主のお母さんの優しい笑顔があることさ。