夏が近づくと様々な症候群が出る。冷やし中華症候群、カレー症候群、ニガウリ症候群、四川料理症候群・・・。中でもカレーと四川が厄介で、毎日食べずにはいられなくなるほどの重症だ。この店もそんな重症時に発見し、とりこなってしまった店である。
場所は駅から外れた、寂しい場所にある。やや不安になりながら定番料理を注文すれば、驚きの連続がやってきたのである。細く裂かずに薄切り鶏を使った棒々鶏は、ねぎとオレンジ色のソースで和えられて、花椒(中国山椒)がさわやかに香る。キャベツを使わず、ピーマンとねぎによる回鍋肉は、締まった豚ばら肉の脂が甘く、ソースと調和する。四川ザーサイ、生姜、ねぎを載せ、熱した山椒油をかけた中国風冷奴。あっさりとした味わいの中から辛味が顔を出す麻婆豆腐など、いずれも洗練はされていないが、温かく親しみをよぶ味わいなのだ。聞けば女主人が四川の家庭料理をそのまま再現しようと開いた店で、、自分が習ったレシピ、現地の香辛料を忠実に使っているのだという。
そんなこの店の一番のお奨めが蒸しナスである。蒸したナスの上に、花椒、青唐辛子、焼きピーマン、ねぎ、ゴマ、にんにく、豆板醤、醤油、ラー油、砂糖、生姜などを混ぜ合わせたタレをかけたもので、ナスの香りと甘みに強烈な辛味と痺れ、それに甘味、塩気などが絡みあう。食べるごとに複雑で奥深く、舌がとらわれていく。そして症候群はさらに悪化していくのである。
栄児家庭料理 (ろんあーるかていりょうり )
住所:板橋区板橋3-34-12
tel:03-3961-9188
定休日:日曜
営業時間(平日)
11:30 ~ 14:30 / 17:30 ~ 21:00
営業時間(土曜)
11:30 ~ 14:30 / 17:30 ~ 21:00