肩が丸い

食べ歩き ,

肩が丸い。
割烹のように、洗練の味で攻めてはこない。
おふくろの味としての、野暮があるわけでもない。
椎茸もサヤインゲンも、筍も独活も肩ひじを張らずに、これ以上でも以下でもない味に煮しめられて、自然に収まっている。
しみじみと、しみじみと、野菜の力が,体の隅々へ染み込んでいく。
それは、彼女が歩んできた道が生んだ料理である。
人生の味は、優しく、温かく、たくましい。
お煮しめに鳥肌を立て、料理というものの深淵を覗いた夜。
銀座「みな美」にて。