肉が笑っている

日記 ,

肉が笑っている。
ふくっらと膨らんで、嬉しそうに笑っている。
熱したバターを何度もかけながら、じっくりと焼かれた愛農ポークの塊肉は、肉の旨みを高めて、熱せられた肉汁が外に出ようとしている。
じっとりと染み出したエキスの輝きに、唾を飲む。
すかさずナイフで切り、口に放り込む。
一噛み。二噛み。三噛み。どどう。どどう。
愛に育まれた豚の命が、滴り落ちる。
我々の命を鼓舞し、健やかに導く滋養に満たされる。
「ありがとう」。心の内で呟いた。

豆の煮加減がピタリと着地している。
潰れすぎないで、噛むとすっと崩れていく塩梅が素晴らしく、豆の甘みの中でトリッパがクニュりと弾むのである。
優しさとヒント大地の味がないまぜになった味わいは、一口で笑ってしまう、力がある。白いんげん、レンズ豆、ひよこ豆、ガルバンゾ、とら豆とトリッパの煮込み。
豆部のみなさん! ここにも一人豆料理の得意な方がいました。

ラカン産の鳩の胸は、炭火で焼いてリゾットの上に乗せる。
鳩のブロードと内臓類を溶かし込んだリゾットには、わずかにオイスターソースを入れたという。
山と海が抱き合った味わいは、決して濃くないのに食べれば食べるほど複雑な味わいが膨らんで虜にさせる。
「ブリアンツァ」にて。