赤坂「辻留」

早く冬の料理に似合う天気になってほしい

食べ歩き ,

冷たい風が頬を刺す。
寒さに震えながら店に入ると「いらっしゃいませ。お待ち申し上げておりました」と、温かい言葉が和らげる。
お椀が出された。
かぶら蒸しの薄くず仕立てのお椀である。
熱々の汁が、とろりと舌を流れ、丸いつゆのうまみが、滋養を行き渡らせながら、喉に落ちていった。
熱せられたかぶらの甘みが、凍りついた心を溶かし始める。
「ふう」。
ため息ひとつ。
11月だというのに今日も暖かい。
早く冬の料理に似合う天気になってほしいなあ。