「ウェストパーク」と「ラ・ブリーズ・ド・ヴァレ」は閉店 青山「ラ・ブランシュ」

ミニサラダは悲しい。

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ミニサラダは悲しい。よくレストランのランチなどで出される、小皿に入ったサラダだ。葉類数枚と、ニンジンや玉葱の細切りやコーン。そこに少量たらされたドレッシング。残すのは嫌なので仕方なく食べるが、大抵、野菜は味気なく、作り置きのために乾燥していて、なんでこんなものを食べなきゃいけないのかと情けなくなる。馬鹿にされているようで、やるせなくなる。 

 

嫌いな理由は数々あるが、まず第一に野菜に味がなく、香りなく、養分を一切感じないからだ。

野菜の養分とはなにか。そのことを知りたくば、「ラ・ブランシュ」にでかければよい。こだわり野菜のサラダ仕立ては、茹でたカブやほうれん草、黄色ニンジン、オレンジ白菜、ニンジン、ブロッコリー、ジャガイモなどと、生のままの紅心大根、黒大根、小カブ、トマトなどが盛り合わされ、そこにオリーブ油と塩をかけたサラダだ。

シンプルながら、どの野菜も甘くコクがあって、土の暖かい香りがし、生き生きと舌に迫ってくる。驚くほどの力強さで、野菜の滋養が体に染み渡り、健やかな心持ちになっていく。それも野菜の持ち味を生かす、シェフの適切な火の通しがあってこそ。野菜への感謝の念が沸き上がる、これぞサラダである。

 

「ラ・ブリーズ・ド・ヴァレ」の野菜類も素晴らしい。三浦半島から直送された野菜類は、みずみずしく、生命の甘みが漲っている。そして適妙に効いた塩と酢によるドレッシング。

ミニサラダを嫌う理由の一つとして、ドレッシングがまずいのと、かけられているだけという点がある。葉サラダは、葉っぱ一つが油でコーテイングされていなければおいしくないのだ。その点、この店の築地のアロマサラダを始めとしたサラダは、見事に葉にからんで、野菜のおいしさを引き立てている。四人前はあろうかと思われるゴースサラダは、唯一自分でかける方式だが、ドレッシングをかけたら、トングでよくよく混ぜてから皿に盛ろう。

 

嫌う理由の最後は、あまりに量が少ないことにある。やはりサラダはむしゃむしゃ食べたい。そんな欲望を満たしてくれるのが「ウェストパーク」だ。三種あるサラダは、ハーフサイズでも二人前以上の堂々たる量。酢が効いたドレッシングがきれいにからんだロメインレタスやトレヴィスに、シェーブルチーズのコクと塩気、ウォールナッツの香りと食感がアクセントになったフレッシュフォレストサラダを、口一杯にほおばってみよう。食後の充足感と爽やかな気分は、サラダ万歳と叫びたくなる、素晴らしき快感である。