門上さん、ぬたです。ぬたです。
ああ、思わず力が入ってしまうのは、居酒屋道を突き進む者にとって、「ぬた」は欠かせぬ肴だからでしょう。
品書にあれば必ず頼む。
否が応でも頼んでしまう。
合わせるのはぬる燗で、「ぬた」の粘りに濡れた唇と、甘辛さに包まれた舌に、生暖かい酒がゆっくりと流れ、染みていく。
その感覚にこそ、居酒屋の幸せが詰まっているからなのです。
赤貝やマグロが入ったぬたもいいですが、
この「ネギぬた」の純情にはかなわない。
ぬた味噌とネギ以上。という潔さもいい。
ネギの歯ごたえと味噌の甘辛さで、樽酒のヌルをやる。
ネギを二、三本箸で掴み、口に放り込む。
しゃきりと噛めば、味噌の優しい甘みが舌に横たわり、辛子の刺激が尾行を蹴っ飛ばし、ああ酒だ酒だと恋しくなる。
ぬる燗を流せば、味噌とネギも酔い始める。
また「シンスケ」のぬた味噌は重くならない工夫が隠してあって、口中での味噌の舞い方が軽やかなのですね。
春は盛りですが、散っていった桜を思い、ぬたで一杯やりませんか。
湯島「シンスケ」。
