「味の正福」で大人食い

食べ歩き ,

「はいアマダイ塩焼き。鱗つけたまま焼いてあるからそのまま食べて。もし固いと思ったら言ってね。もっと焼くから。鱗がおいしいから。鱗はカルシウムとかビタミンとか魚じゃ取れない栄養があるからね」。
「はい胡麻さば。鯖食べたら、残ったタレをご飯にかけると、おいしいよ。ねこまんまがオススメ」。
「はいご飯。男性と女性で量を変えておいたから。足りなかったら言って」。
「はいアラカブの煮付け。この煮汁は、いろんな魚の旨みが溶け出ているから、最後に汁をご飯にかけて食べるとおいしいよ。ねこまんまがオススメ」。
はい。もうどこの店かわかるでしょう。
そう。博多で魚定食といえば、「味の正福 天神コア店」です。
ギャルファッションで溢れかえる天神コアになぜかある、おじさんたちの聖地なのであります。

今日は、「大人食い」をしてみたのだな。
「きんぴら」に、「ほうれん草」。「納豆」に「玉子焼きハーフ」。それに取り放題の高菜漬けで。缶ビール一本とひや酒一合をやる。
そしてメインは、「カワハギの煮付け」ときた。
ああ、肝もしっかりついているじゃありませんか。お酒お代わり。
大きなカワハギの肉は、きりりと引き締まってほの甘い。
そして肝をチビチビと舐めながら酒をすする。
ご飯を途中でもらって、煮付けで食べたら、最後は汁をぶっかけて、ちきちきご飯。
大根の葉を食感のアクセントにするべく混ぜ、豆腐も混ぜて優しい甘みを参加させ、そして肝を一つ潰してご飯とよおくよく混ぜ込む。
肝煮汁混ぜ混ぜご飯を掻き込めば、ハハハハハハ。笑いが止まりません。
隣に座った70代のおじさんは、日替わりの鯖焼き定食に玉子焼き(ハーフではない)。
鯖にも玉子焼きにも醤油をじゃぶじゃぶかけて、猛然とご飯を掻き込み、やはりしょっぱくてご飯が足りなくなり、半ライスをお代わり。やるなあ。
さらに後から座った、やはり70歳位のおじさんは、もっとかっこよかった。
「今日は、日替わり定食。あとはいつものね」。
「いつもの」。やるなあ。
見ていると、きんぴら、玉子焼き(ハーフではない)。ナス味噌(ハーフではない)に丼に入った豚汁が運ばれてきた。
まず鯖塩焼きについた大根おろしに醤油をかける。が、鯖には一切手をつけない。
ナス味噌とマヨネーズをたっぷりつけて玉子焼きで、ご飯を一膳。
お代わりをして、豚汁だけで一膳。
さらにお代わりして、きんぴらと鯖塩でご飯を一膳。
なんと70代にしてどんぶり飯三杯である。
しかも太っていない。
平然とした顔ですくっと立ち、「ごちそうさん」と、帰っていった。
僕は、一人4千円以上も使って「大人食い」と一人悦にいっていたが、敗北感に打ちひしがれるのであった。