豚足に、初めて出会った。
もちろん今まで、百回以上食べている。
だが昨夜、豚足というものをまったく知らなかったことに気づいたのである。
サカエヤが扱う、キタノボークの豚足を、「Kobayashi」の小林シェフに料理してもらった。
干したヒラメの大地魚と50年もの陳皮で風味漬けした香味揚げである。
豚足はだらしなさが微塵もない。
優しく歯に食い込み、つるんと、溶けていくように崩れる。
臭みもない。
妙に筋張ったところや硬いところもない。
優しいあまみを広げながら身をよじり、喉へ消えていく。
「普通豚足を買うと、くさみがあっがたり、毛が残っていたり、ガスで焼いた焦げが残っていたりするのですが、毛が一本もなく、こんなにもきれいな豚足には、始めて出会いました。ふだんは安いものだから、おざなりにされてきたんでしょう」。小林シェフがいう。
「安いものこそ、丁寧な手当てをしなくちゃいけないと思うんです」。
新保さんが言う。
「命をいただく」と、安易に言うが、肉を、それぞれの部位を輝かせてこそである。
豚の生産者、屠畜に関わる人達、精肉店、料理人、それぞれに関わる人達の仕事に感謝し、敬意を払い、手を合わせて「いただきます」と、言うのである。



