えっちゃんの料理は、落ち着いて、静かで、柔らかい。
六本木時代からもう20年近くいただいているが、いつも安らぎを運んでくる。
食べた瞬間「おいしいっ」と、叫ばせないが、心の内で「おいしいなあ」と、呟かせる。
そうして平安を運んでくる。
割烹の洗練さや気取りではなく、家庭料理のざっかけさでもない、その間にある、プロの味である。
食べると、仕事の汗が抜け落ち、悲しみの後の優しさを運んでくる。
どうしてこの味に決められるのだろうと、いつも思う,
そんな不思議が、心の隙間にすうっと入ってくるのだった。
きっとそれは、彼女が歩んできた、人生の味なのである。
脂がきれいなアジ造り
香りが食欲をあおる、、太刀魚南蛮漬
煮汁の味わいが優しいが酒が恋しくなる、さわら煮付け
ニョクマムの抑制のギリギリ感がたまらない、甘鯛と春雨のベトナム風蒸し物
コックリとした味わいながら、どこまでも優しい、鶏と野菜くず煮
揚げが精妙で、皮の香ばしさが生きた、干貝柱の春巻
豆腐の甘みを尊重した、名物自家製ひろうす
様々なものが入った、大阪人の食いしん坊ぶりが出た七福神、大阪風のなます
ナッツの穏やかな甘みと香りが、春菊の強さをいなす、春菊カシューナッツソース
ふっくらとして大きい、丹波黒枝豆
上品な味わいのつゆに、、細い細い麺と鯛の切り身を合わせた、にゅうめん
根津「さかなのさけ」にて。