こちらの人は蟹を食べても無口にならん.
蟹と格闘しながらもしゃべりまくる。ウソだと思うならクアランプール郊外のこの店にきたらいい。
闇夜に蟹が怪しく光る。
本日5食目、2日目の夕食は、高級住宅街のペタリンジャヤにある「ユニーク・シーフード・奇怪海鮮酒家」である。
その名も「奇怪海鮮酒家」。入れば奇怪ならぬ荘厳海鮮である
なにしろ横8〜12列、縦4列の水槽が、客席の前のひな壇に置かれているのである。その他横と下を合わせると恐らく40水槽はあろう。
もはや飲食店ではない。
水族館である。
魚、貝、蟹、海老が元気に泳いでいる。
北海道やカナダから長旅をした、貝類もいる。
この水槽前で魚を選び、料理法を指示し、後はテーブルでじっと待てばいいというのだが、なにしろ100名近く入る店内は、海老かにと格闘しながら話しているのである。
さあ壮絶な戦いが始まる。
まずは注文を取るお姉ちゃんと、魚を指差し、こちらの好みを理解させ、調理法を指示しながら、コーフンして頼みすぎないように時勢もしなくてはいけない。
しかも廻りがうるさいので大声で指示を出す。。
注文だけで一仕事を終えた疲労感が襲う。
でも、こんな疲労感なら大歓迎、さあ料理が運ばれてきた。
「親はなくとも子は育つ」と、世間では言いますが、私もすっかり子供ばかりが有名人になってしまいました。
親です。ロシアのチョウザメです。
どうです。親も捨てたもんじゃないでしょう
淡い甘みの中にほんのり脂をのせて、上品な味なんてよく言われます。
今日は潮州風の蒸しにしてもらいました。
私の滋味が溶けたスープに、干梅の酸味とひっそり隠れた辛味がきいて、私の味を引き立てているでしょう。
ほうら瞬く間に骨だけになった。
ああ、そこにご飯をぶち込んでくれるんですね。よおく混ぜ混ぜして。
スナップエンドウ、インゲン、百合根のような甘みと食感を持つ小玉葱、辛味が薄い赤唐辛子と合わせて。
がブラックタイガーの、小さい、元気な才巻サイズをさっと茹でて、「白勺」にする。
熱いうちに殻むいて、生姜醤油かチリソースにつけて、パクッといけば、なんとも甘い。香りも甘く、日本で馬鹿にしている人たちが見直す味である。
そして大物キングガルーパ。ハタ科の高級魚はやはり香港風に蒸してもらう。食べれば、この魚ならではの味の濃さが醤油味とあいまって、食欲を刺激する。
白い身に品のある甘みと濃密な滋味があって、食べるほどに舌を堕落させる。
最もおいしいのは頬と唇に顔周りの皮。頬肉のしっかりとした噛み応えと味の詰まりかたに顔を緩め、ぷるんぷるんとゼラチン質の甘みを滴らせる唇と皮はに、目を細める。
ああもう、しゃぶり出したら止りません。この皿にもご飯をぶち込んで、食べ終える。
オーガニックチャイブを炒めた「有机青犬菜」は、緑龍菜といって、細くシャキシャキとした歯応えが楽しい野菜。味は淡く青々しさも軽いが、精力がつくそうで、男性に好まれるという。
スープは蟹と海老の豆腐スープ。マナガツオはシンプルにグリルにして、唐辛子をすりつぶしたタレに浸けて食べる。ほの甘い身と塩分が効いたタレの塩梅がいいんだな。
カナダから来た巨大みる貝は、XO醤炒め。軽く炒めた貝からミルキーな甘みがにじみ出て、XO醤油のうま味と混ざり合う。
一方アサリは姜葱炒めにしてもらう。
ああ、見たことのない、ナゾの魚や蟹に惹かれるが、もうこれ以上は食べられません。
どうも日本では差別されているらしいですね。
僕はブラックタイガーって凛々しい名前なんだけどな。
こうやって小さい、元気な才巻サイズをさっと茹でてね、「白勺」にするといいでしょ。
熱いうちに殻むいて、生姜醤油かチリソースにつけて、パクッといってください。
どうです。あまいでしょ。食感が弾けるでしょう。
香りもいいって? どう、見直してくれたかな?