ラッセとは板の意味。

食べ歩き ,

ラッセとは板の意味。
パスタを打つ台であり、イタリア料理の基礎を支える板という意味でつけたという。
シェフとサービスの二人が切り盛る。
クラッテロと梨に始まり、
修行先を思い起こさせるカボチャのスープ。
写真はオマールのテリーヌ、ボッタルガとバルサミコ添え。
生のオマールは、余計な鉄分をきれいに取り除き
その甘美でエッチな身を寄せ合っている。
手前には、スーシェフを務めた三ツ星レストランのシェフ、ブルーナおばあちゃんが
東京のすし屋で、抗菌とリフレッシュの意味合いを持つガリの伝統に感激し
白ワインとワインヴィネガーで作ったという生姜が添えられている。
リコッタ、マスカルポーネ、パルミジャーノ、モッツァレッラによるラビオリは
熟成の練れた塩気が美しく絡まって、笑みを呼ぶ。
あさりのリゾットは、素朴ながらも、あさりの滋味だけを素直に滲ませた誠実な味わい。
実は、このリゾットに、最も心打たれた。
メインの仔羊も同様、決して派手さはないが、
食材の力を信じたシンプルな表現に、誠実な美学が満ちているのだ。
だからゆっくり咀嚼していると、生きている喜びがにじみ出る。
そんな料理だ。
食べログでは点が低いようだが、
新しさや独創に目が慣れた人達には、まだ見えてないものがあるのだろう。
杏仁が香る「タルトアマレッティ」も秀逸。
子供のような笑顔持つ村山シェフはだもの、これからさらに楽しみ。