もし食事をいただくためだけに、泊まるホテルがあるとすれば、それは「星のや東京」だろう。
今日本で、最も刺激的な料理を作る料理人の一人、浜田統之シェフの料理は宿泊しないと、いただくことがが叶わないからである。
その浜田シェフが、新たに日本の発酵食品を取り入れたコース料理を出すと聞いて、食べにいった。
発酵食品は魅力的である。
その香り、練れた塩気やうま味は、食材の味をカーブさせ、艶をつけ、個性的な体験を作る。
だがやりすぎてしまうと、味わいが発酵食品に引っ張られてしまう。
浜田氏の料理は、その塩梅を繊細にわきまえていた。
微かに感じる発酵食品の香りや味わいは、これ以上でも以下でもない、ギリギリに決まっており、我々は新たなおいしさを発見して、胸が打たれる。
★汕 雲丹と馬肉
馬肉と生雲丹のサンド、根セロリのピュレ 茗荷
タルタルにした馬肉の鉄分にウニの甘みがからむ。だがそこに塩ウニのような練れた旨みが漂って、心を焦がすのである。
聞けば、福井の「ウニ醤」を振りかけているのだという。
ボランジェと飲めば熟成香が手を結び、さらに根セロリの青い香り立って、優美な後口を残。
★石 5つの意思
酸味 塩味 苦味 辛味 甘みという五味が射込まれており、また順に前菜、スープ、魚料理、メイン、デザートが表されている。
●アジのルーロー べったらと紫蘇の香り胡麻。べったらの柔らかい酸味が味の油のうまさと抱き合う。
●アサリのガスパチョ塩麹 あさりの旨みの中で、微かに塩麹の塩味が漂う
●サザエとゴーヤのコロッケ 酒粕 ゴーヤやサザエ肝の異なる苦味を、酒粕の香りがほんのりと包み込む
●帆立とタコのメルゲーズ かんずりとタマリンド 酸味と辛味 ほのかにカレー香。こちらもメルゲーズ的単純さでない複雑味がかんずりで滲む
●アミ海老の甘辛煮込み ずんだ包み ずんだの甘みと海老の濃縮した香り
★鮮 鰹
サスエのかつお醤油漬けと酒盗のヴィネグレット 野菜と酒盗のシーザーソース
醤油とヴィネグレットの酒盗の加え方のバランスがいい。そっとカツオの旨味を膨らます。
ヴィネグレットとワインの苦味が実に合う。
大治郎日本酒 酒本来の素朴な旨み
★滋賀の喜多品の熟鮓と飯 とソーテルヌのジュレ。
いい! エレガント 際どく、曲者になる一歩手前の調和が美しい。
ライム
★素 鮎
山形鮎低温コンフィ タデパウダー 黒ウルカとタプナード 白ウルカソース。パートファロ
黒うるかとタプナードの、種の異なる苦味と苦味が出会うスリル。
鮎の肝の甘みが生きる。
インゲン豆 大徳納豆 イナゴ豆
★彩 鴨
ねさし味噌名古屋 コンソメ 信州のフランス鴨。味噌味に行きすぎていないが、味噌の香りとうまみはある。味噌のコンンアにエレガントな使い方はない。
★おにぎり お味噌 鴨レバーと黒ニンニク。 小さなおにぎりwスープの中に入れて崩して食べる。
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★涼 小夏
昆布茶のジュレと大葉のメレンゲとチュイル。小夏甘酸味を紫蘇のアイスが引き締める。
★蜜 桃
山形政宗2017年
木苺とパッションとカカオのラングドシャ 桃のコンポート 薔薇のエッセンスのババ。薔薇の香りに吸い寄せられた蝶。
★アブサンのボンボン。