再び熟成師のもとへ 三谷。

食べ歩き ,

6月某日。
再び熟成師のもとを訪れた。
「あの店なんだろね」。
OLが店の前で話し合っている中を、ずかずかと入り込む。
「よろしくお願いします」、熟成師が深々と頭を下げる。

「よし」。
気合を入れて座れば。
造りが三品。

シマアジは、塩をして、軽く酢〆。
弾む食感に脂の切れよし。
子がみっちり詰まった蝦蛄と
、熟成師ならではの三日間寝かせた「こち」。
そのまま冷蔵庫で2日。
冷蔵庫の段を移して1日
骨をとって1日。
ううむ、こちが、>とてつもなく色っぽい。

お次はホッキ貝と雲丹に、芝海老と車えびのおぼろをかませた車えび。
二つの海老でおぼろを造るのは、ご覧の通り桜の色出しにほかならぬ。
続いては 「千倉の鮑とじゅんさいの茶碗蒸し」。
じゅんさいに火が入ったときの草のような香りと、あわびに内包された海草香が調和する。

「焼きますのすけと酢飯のおこげ」。

ははは。

これにはまいった。
タタミイワシをイメージしたという一品で
酢飯には小柱がすり込んであって、より風味高く、
そこにマスノスケのうまみが加わわりゃあ、笑うしかない。
飲むしかない。

稚鮎の天ぷら

うん、苦味をリフレッシュさせる「瓜の新香」が心憎い。

そして、やばいです。「ばちこ、カラスミ椀」。

火が入ったばちこの動物臭。

酒飲み殺すにゃ、このお椀を飲ませればいい。

「露穴子の白焼き トリュフ塩添え」
たまらなくエッチ。

よし握りだ。
いきなりキャビアときたもんだ。
次にづけときたもんだ。

そして
づけとキャビアを合わせれば、キャビアがマグロを引き上げる。
まことに不思議。

熟成コハダは、酸味とうまみが熟れている。
酢飯の温度よく、そんなコハダとピタリ寄り合う。

これは、中トロとカマと酢飯を合わせ、赤雲丹とあわせたもの

ゼータクだけを狙ったのではない。
濃密なうまみを掛け合わせようとしたのではない。

赤雲丹の濃さを、切れのいいマグロの脂がコーティングして生かす計算がある。

こち。

鮮度よく、ねっとりとしない素晴らしき白海老

ダシ巻き玉子に、酒飲み泣かせの海鼠腸手巻き。

赤貝、穴子に、淡路アジ。
アジは芽ねぎにぎりもお願いし、

干瓢巻きに このわた巻き(通風巻。くぅー)。
海鼠腸にぎりに、おぼろ巻き。
白海老オカワリ、蒸し鮑にふかひれにぎり。

鉄火で閉めて氷菓をいただく。
おい。酒にワイン、何本いったんだ?

最後に熟成師の、凛々しき横顔。