今夜の傑作は車海老のしゃぶしゃぶ。
握りに見えるが、酢飯の代わりにキンキを抱いている。
今の時期ならではの淡い脂を持つキンキの甘みが、海老の熱情を盛り立てて、グッと舌に切り込んでくる。
そして一番唸ったのは鰯、鰯の肝で和えた酢飯の上に軽く焼いた大羽を乗せた。
脂はのっているがキレがよく、品を感じさせる鰯のうま味が舌に広がり、そこへ肝のコクがのしかかる。
思わず笑った。大きな声で笑った。人は本当に美味い物を食べた時、「ウマイ」と叫ぶより笑うのである。
鰯が舌の上で「どうだ」と胸を張る。「まいりました」とまた笑う。
その他噛むごとに海の底に引きずり込まれる、千倉の蒸し鮑のバフン雲丹スープ漬け。
筋を取り去った酢〆鮪のにぎり。
金目の脂 マグロ腹ビレステーキ赤酢のすし。
マコガレイの熟成のねっとりした身と玉子の甘みが共鳴する、カザフスタンのフレッシュキャビアと2日熟成のまこがれい。
塩抜きしたカラスミと合わせた、マグロの顎から頬にかけての肉の芽葱和え
焼いた赤ウニとバフン雲丹を和えた酢飯など
笑い、唸り、叫ぶ、四谷「三谷」の23皿。
今夜の傑作は車海老のしゃぶしゃぶ
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