3月なので,無茶振りはひな祭りにした。
いわく「ちらし寿司」と蛤の潮汁ならぬ「蛤のズッパ」,「桜餅」である。
しかしいつも想像を超えるので、出されてもすぐにはなんの料理かはわからない。
それがシェフの心意気と矜持なのだろう。
この泡が乗った料理は、ちらし寿司だった。
うすい豆が見える。ウニが見える。マグロが見える。
でもだからといって、これがちらし寿司なのか?
おっと中からコメが現れた。
つまりインサラータ・ディ・リソにうすい豆を配し、出汁でヅケにした中トロと、ソーテルヌとガルムに漬けたウニを添える、ヒラメ昆布の泡を乗せたのだという。
なんとエレガントなちらし寿司だろう。
それでいてちらし寿司が持つ、春の温もりがあって、優しく心を撫でるのだった。
以下次号。