存在感があるのに 2014.12.20 食べ歩き , 東京 , 中国料理 , 豚 Tweet 存在感があるのに存在がない。 その肉団子は、食感という気配を消していた。 歯を当てた瞬間に、ふわりと歯が吸い込まれる。 よく来たねと、いたわるように歯を包み、ほろりほろりと崩れていく。 溶け合った豚肉の甘みとスープのうま味が、舌の上をなめらかに滑る。 もはや団子ではない、豚肉のムースである。 豚肉だけを使った団子を、蒸し、一晩スープに漬け込む。 そして翌日調理する。 こうして、そのやわな体にエロスが宿り、僕らの心を骨抜きにする。 大井町「萬来園」の名物肉団子。