「炒飯は一人前にしてもらって、あれ作ってくれませんか?」
「ああ、陳建一さんが大好きで、まかないでよく食べてやつですね」。
「そうそう、白いご飯にかけて食べたいんです」
「かしこまりました」。
誠実さが顔に滲み出た「乃木坂 結」のシェフは、そう言って厨房にひっこんだ。
しばらくして現れたのがこれ「八寶辣醤」である。
細かく切った野菜類や椎茸、ザーサイやヤーツァイを肉味噌と炒め合わせたおかずである。
陳建一さんは、料理本「本音で作る僕の料理」の中で。この料理を紹介されている。
「これ、僕たちのおかず。店のまかない飯でよく食べるんだ。野菜は切れ端でもなんでも、フードプロセッサーにかけてもいいから、本当に簡単」。
出てきた料理の色艶に舌なめずりをして、白いご飯にかける。
肉味噌のうまみに様々な野菜の食感が重なって、猛然とご飯が恋しくなる。
あとは脇目も振らず、ワシワシと掻き込もう。