「かやきはたくさん作んないの。少しでご飯かずっと食べ続けられるように工夫するの」
女将は優しい笑顔で教えてくれた。
ホタテの卵とじかやき、塩辛かやき、ニシンの切り込みかやき、焼きガレイのかやき、タコのぶらぶらのかやき。
5種類のかやきが目の前に並ぶ。
珍しいのは、タコのぶらぶらで、1時間ほど茹でたタコの頭の皮の部分で、ぶらんぶらんしているからそう呼ぶのだという。
「タコ自体に塩気があるから味噌は少なめに入れるの」というように、五種類のかやきは、味噌も違えば、出汁の量も変える。
タコの出汁が出た味に目が細くなる。
ホタテは生もいいけど、火が通って卵と抱き合った頃合いがよく、切り込みは、下の大根おろしにに切り込みの味が行き渡った頃が食べごろである。
焼きガレイは、その香ばしさと旨味が詰まった味がたまらない。
そして塩辛は、塩辛自体の味が綺麗で雑味なく、発酵しかかった浅さがまたよく、大根おろしに味が染み渡ると、エレガントになる。
こりゃあご飯しかないと、おかわりをし、ご飯にかけて見ましたよ。
ワハハハハ。
もう笑いが止まりません。
むつ市 武田屋にて