「若鶏の立田揚げ」

食べ歩き ,

青山の酒亭「ぼこい」を、僕は愛してやまない。

名物は、「ポテトサラダ」だが、もう一つの名物が「若鶏の立田揚げ」である。

最近は唐揚げブームに押されて、すっかり影が薄くなった立田揚げだが、ここで食べると、あらためてこの料理の実力に納得する。

紅葉の名所,龍田川にちなんだという、やや濃いきつね色に揚げられた衣が、ちりちりと縮れて、早く齧ってと囁いている。

断面からのぞき見える鶏肉の、しっとりと肉汁を輝かす姿が色っぽい。

矢も盾もたまらずかぶりつく。

熱い。

熱々の衣が、カリリッと音を立て、歯は柔らかな肉にめり込んでいく。

その瞬間、鶏肉から優しい滋味が流れ出る。

ほの甘い、鳥のエキスが、どっと流れ出る。

衣もうまい。

軽やかな食感で香ばしく、衣自体に味がある。

カリッ、サクッと弾ける衣の食感と、むちっと歯が食い込む鶏肉の対比的な食感が、たまらない。

鶏モモ肉と衣のバランスも絶妙で、互いが互いを引きたてる。

だから一度食べ始めたら、もう止まらない。

衣の食感を生かすため、レモンは皿に絞って,浸けて食べるのがいいでしょう。下味に糖分を使わず、醤油、酒、生姜という居酒屋仕立てゆえに、酒にもぴたりと添う。

酒は酔鯨純米の燗がオススメです。

どうです。一杯やりに来られませんか。

 

青山「ぼこい」